forget-me-not blog



大江健三郎『死者の奢り』
大江健三郎なんて。
中学高校の教科書に出てくる硬い文章の人、的なイメージしか今まで無かったけど。

ただの読まず嫌いだったの!?と思えるくらい、これは面白かった!
(でも、先生の話を聞いていると、やっぱりそれは思い過ごしでもない感じ。この作品が特異っぽい)

処女作だっけ、デビュー作だっけ。
とにかく、これを彼が書いたのは、20歳の時で、発表したのが21歳。
もう私はこの年齢を過ぎてしまったわけか!!
20歳でこのような小説を書く、というのが、驚愕の境地。

大学の医学部研究用の死体置き場。
死んだ人間が大きな水槽に何十体も犇き(ひしめき)あってホルマリン漬けにされ、それらはプカプカと浮き沈みを行なっている。
それを水槽から水槽に移し変えるバイトをする、という大学生の話。

なんだかなぁ。
面白い、と書いたけど、ただ単に楽しいんじゃないのは、これで分かると思う。
引き付けられる感じ。


文章や、作品の内容、色々な点が分析欲をそそる。
大江の特徴的な言葉遣いは
通常、「〜していて、」と書くところ、「〜してい、」と、“い”で止めてしまう。
この効果は何なのか。
とか。
こんなバイト、ホントにあるのか。とか。

超短篇なので、気になる方は是非、読んでもらいたい。
新潮文庫から出てます。

大江健三郎がよく分かる、というサイト見つけました。
その名も、
若い読者のための大江健三郎ワールド
そうこ。: 本のこと。 | comments(0) | trackbacks(9) |
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